お薬漬けのdiary

薬剤師によるブログ。在宅医療メインで薬剤師してます。いろいろなことに興味があり、特にビジネスの側面からのお話が多いかも?

4月から薬局に行ったら対応が変わった!? 2016年度 調剤報酬改定後の薬局や薬剤師の状況まとめ #薬剤師 #調剤薬局 #かかりつけ薬剤師

 

お久しぶりです。

久々の更新になります。

 

さて、2016年度の調剤報酬改定といえば一般の方からするとぴんとこない言葉だと思いますが、最近テレビでよく話題になる「かかりつけ薬剤師」「薬剤師の24時間対応」「お薬手帳の値段が変わる」などなど、薬局やそこで働く薬剤師にとっては大きな変化が訪れました。

実際にそれらが適応されるのが昨日(4/1)からだったわけで、すでに皆さんの中でも変化を感じた方はいらっしゃるかも??

 

Twitterの反応からどんな状況になっているのかみてみましょう。

▼改定後のいろいろな反応

 

 湿布は一度の処方で70枚までになりました。特別な理由をつけることで処方が可能になる方法もあります。「70枚」の判断は、湿布薬の種類ごとに70枚ではなく、処方され
た湿布薬全体の合計枚数が70枚ということになりました。

 

 

処方箋の形式に変更がありました。

 

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保険薬局が調剤しに残薬を確認した場合の対応について項目が入りました。

そのことにつて診療所と薬局間での意思疎通がうまく行っていないことが起きているようです。

 

 

 

お薬手帳の代金(薬剤服用歴管理料という名前で呼ばれます)については、 早速いろいろな薬局で取り組みも行われている上、ダイレクトにお会計という形で反映されるため一般の方の中でも特に話題になっている様子。

詳細がわからない、安くなるとしか言われていないということなので簡単に説明をする。

  • 減額されるのは6カ月以内に同じ薬局で調剤を受けた場合のみ。
  • 手帳に関わる点数のみの話なのでいく薬局によってそもそも値段は変わる。変わる薬局は、調剤基本料の1または4を算定している薬局に限り。
  • 安くなる場合は50点→38点(3割負担なら、150円→110円)
  • ちなみに、処方が6か月を越えている場合には次も続けて来局すれば、6か月以上空いたとは考えないよう。
  • アプリ(電子媒体)の場合は患者さんから薬剤師に飲んでいる薬の内容がわかるように、画面を見せることで手帳を持参しているのと同じ効果が得られる。

特に注意なのは、減額が適応されない薬局があるというところ。それは薬局の体制自体の問題なので仕方がない。一部の特徴をいうと、大きな企業薬局であったり、処方箋がたくさん来てそうな大病院前の薬局だったりが減額できない薬局に当たる機会が多くなりそうです。個人的には、手帳もっていかなくなることで安くなるぞ!運動(?)を抑止する目標があったのかとも思ってます。

 

そんなに遠くない未来には、電子処方箋や電子お薬手帳の普及によって紙媒体が減ってくものと考えらますが、そのためには大きく整備を整えなくてはならなりません。その間までは、アプリを使用して得られるメリットは紙媒体とさほど変わりません。むしろ企業としては患者さんの内服情報を収集してビジネス展開を考えるところも皆無ではないので、そういった点を考えて電子か紙か患者さんが選択する時期は続くものと思われます。


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今後の活動へのフィードバックにします。

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医薬品の供給問題  地域が受け皿になるには #在宅医療 #地域連携 #地域拠点薬局 #介護 #調剤薬局

先日、考えさせられる出来事があった。
医療用の医薬品の安定供給の問題だ。
某フランスの工場の話なんかじゃなく、最も現場に近い調剤薬局から患者さんとの間での問題。

実は、調剤薬局業界は医薬品を薬局間で譲渡(売買)することが少なくない。次から理由をあげる、医薬品の種類の問題と現実的な取扱い方を解決する一つの方法としてだ。

ご存じの方も多いと思うが、現在医薬品は国内に何万種類も存在する。さらにジェネリック医薬品の登場により、異なる成分としての量×販売メーカー(ジェネリック)の数を決して下回ることはない。また、配合剤(多種類の薬を1剤にする)の登場により配合の規格を全てそろえるためには種類が増える。

例:医薬品A(規格 5mg 10mg 20mg)+医薬品B(規格 100mg 200mg)=5規格
  配合剤X(医薬品A+医薬品B)3P2 =6規格

現在3規格の医薬品が配合されている医薬品はないが、2規格同士だとしても4規格の用意となるため、規格数は変わらない。2種類の錠剤が1錠になるというメリットに対して、途中から容量の変更(例えば片方の規格だけ半分にしたい)に適さない、製剤の大きさが従来品より大きい、口腔内崩壊錠が存在しない、ジェネリックがなく割高なんてデメリットもある。

話がそれたので戻そう。
日に日に種類が増えていく医薬品の問題というのは実際に扱っている者には本当に頭を抱えることだが、その反面で医薬分業の発端には医師が自由に医薬品を処方できるとして推進してきた背景も支えなければならない。
この矛盾する点をどのようにやりくりしてきたかというと、門前薬局という閉鎖された状況を活用してタイアップの医院が処方する薬剤に限定して備蓄してきた。よって、しばし門前薬局以外に処方箋を持ち込むと薬がないという事態が引き起こされるのだ。
しかし、調剤薬局は特別な理由なくして調剤を断ることは認められていない。


■調剤の求めに応ずる義務 薬剤師法第 21 条 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなけれ ば、これを拒んではならない。 □正当な理由 薬局業務運営ガイドライン(H5.4.30 薬発第 408 号 薬務局長通知)
ア 処方せんの内容に疑義があるが処方医師(又は医療機関)に連絡がつかず、 疑義照会できない場合。但し、当該処方せんの患者がその薬局の近隣の患者 の場合は処方せんを預かり、後刻処方医師に疑義照会して調剤すること。
イ 冠婚葬祭、急病等で薬剤師が不在の場合。
ウ 患者の症状等から早急に調剤薬を交付する必要があるが、医薬品の調達に時 間を要する場合。但し、この場合は即時調剤可能な薬局を責任をもって紹介 すること。
エ 災害、事故等により、物理的に調剤が不可能な場合。

 

 


そういったタイアップ以外からの持ち込み処方箋には、冒頭にも述べたように薬局間譲渡で解決されてきた。
冒頭で述べたように、薬局は薬局間譲渡によって矛盾を解決してきたのである。

と、前置きが長くなったりました。
先日の考えさせられる出来事というのが、この薬局間譲渡でも解決できないようなケースに2度遭遇したことによる。

1つ目は、PCAポンプを使用した医療用麻薬の調剤。
患者さんは、内服・貼付剤によるペインコントロールが不可能になり持続皮下を開始する運びとなった。がん患者の看取りにペインコントロールは中心医療となる。
他薬局で調剤はできなかった理由は「在庫がない」ことだった(実際にはほかにも要因はあると考えられる)

2つ目は、ノルスパンテープ(ブプレノルフィンテープ)の緊急処方。
Drはe-learningを直ちに受講し処方が可能になったにもかかわらず、卸に在庫はあるが卸すことはできない。メーカーからストップがかかったのだ。理由は事前登録が必要ということ。
基をたどれば、医薬品備蓄(この時点で必然的に登録は済んでいる)ができていればよかったのだ。

この2つから学ぶことは、患者さんの治療と医薬品供給体制にどれだけ大きく左右されるか。ということ。調剤薬局はどれだけ、医療の下支えをしているかを真剣に考える必要がある。
調剤報酬改定の予想として挙がっている、在宅医療を下支えする24時間開局薬局。この、24時間開局ばかりに目が行っているように感じるが、本当の下支えはそこではない。開局していることが大事なのではなく、医薬品の対応ができることが大事なのだ。

今回障壁になった問題は以下、
1、門前薬局の拡大による、各薬局の医薬品の偏り
2、医薬品供給体制の需要とのかい離(メーカー、卸の体制)
3、問題の掘り起こしと議論が十分にできていないこと

 
これらの要望は、今のところ自主的に薬局単位で備蓄を増やすしかない。
だが、過去にないほど規制のある医薬品の使用が広まった今、規制緩和や単一の大型薬局しか方法はないである。業界を動かす取り組みになるよう、一石を投じたいと思うばかりである。
今すぐにできるのは、1歩づつ問題に直面して患者さんのために結果を出していくことだけだけど。。。
 

Spain視察 スペインの薬局から地域包括ケアを考える #薬局 #在宅医療 #地域包括ケア

皆さんお久しぶりです。

4月の法改定にむけて業界は少し騒がしくなっていますね。

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia271030/01.pdf

こちらには”28年度診療報酬改定”について記載されている資料になります。

ざっくり言えば、現在の医療水準をある程度維持し、超高齢化社会に備え乗り越えていきつつ、膨れ上がった社会保障費の抑制をも行っていくということ。

 

そんな中で冒頭でお話ししたように、調剤薬局業界を騒がしくなってきております。

マイナス改定は必至、24時間対応や在宅医療をも算定要件(報酬をもらうために必至な行為)になるであろうというもの。

 

私の考えでは、10年内に第一次淘汰が終わっていると考えてます。

この完全淘汰とは、国の定める(算定要件を満たすことができる)薬局として営業することができる、または他の方法で調剤薬局としては別の形を中心に生き残るか。もしくは、調剤薬局を閉局するか。。。です。

 

そして、第一次と言いましたが、その次の10年に第二次淘汰が完了しているか、大きく進んでいると考えています。この20年の間に大きく変化が2回も起こるのです。

 

生き残りは海外から学ぶ??

先日、スペインの薬局を見学しに行く機会がありました。

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日本の調剤薬局のような規模で、処方箋を応需することもしていましたが、何処でも日用品(特にボディケア、コスメ、ベビー&マタニティグッズ、サプリメント)が陳列されていました。

スペインは、お昼休憩を取る国なので、朝9時〜20時くらいまでは当たり前です。

また、基本的にサービス業でも日本のような”お客様は神様”というような謙譲姿勢が無いところなので、親身になって話を聞いてくれるスタイルは際立って頼りになるのかもしれません。

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日本には、処方箋を応需するだけの調剤薬局が多くありますが、基本的にスペインでは先述の通り生活用品等を必ず陳列していました。

また、立地は処方箋発行元の診療所に併設するようなことはなく、独立した環境であるようです。そして、都市部でも郊外でも薬局は当たり前の外観として存在しているのが印象的でした。

 

スペインの事情と日本の事情

  スペインの年齢別人口の図です。

平均寿命ランキング・男女国別順位 - WHO世界保健統計2014年版

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スペインの平均寿命は 男女平均82歳で、世界代8位。 と言っても、最高齢の日本84歳に次いで3ブロックめになるので、日本並みに長寿国であります。(その割には食事の味付けは濃いし、タバコはプカプカやってるし、最初のうちは寿命短そうだなんて思っていました。)

さて、日本は、

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やはり、団塊の世代が明らかに目立つ形となっており、スペインに比べると一つ塊を頭に抱えているような形になっています。

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そしてなんと、出生率については日本のように減少傾向を辿った末に、ついに日本を下回っている。

 

そして、保険制度も日本と少し違うのです。

● 国民保険制度を取り扱う公立病院と民間医療保険を取り扱う私立病院とがあり、選択は自由。国民保険制度の病院は無料(ただし、社会保険料納入者に限る)だが、治療を受けるのに長い間待たされるので後者を利用する者が多い。その場合、民間の医療保険または日本の海外旅行傷害保険に加入しておくことが望ましい。

● 治療を受ける際には緊急を除いて予約が必要。 小児科、内科は各自の家庭でホームドクターがいる(往診制度)。

 

形こそ、日本に似ているところや情勢があります。同じような問題を迎えていくでしょう。しかし、最も重要な違いは人口構成です。日本は、団塊の世代があることで問題への解決までの時間が多くありません。

 

スペインの薬局の形には地域包括ケアに必要な薬局の機能を持っています。

そして、医療費の抑制の観点からは民間保険と公的保険のミックスも可能性としては少ない話ではありません。

近い未来、スペインのような薬局の形態が日本に多くできるかもしれません。 

 

しかし、それでは完全解決にはなりませんし、日本の抱える問題はスペインより急務です。 スペインの薬局を超えて、世界で大きく超高齢化社会を解決できなければなりません。

 

しかし、日本が考える地域包括ケアの発展線上に参考になる形がありました。

やはり医薬分業に歴史のあるヨーロッパにはヒントが沢山あるようです。