お薬漬けのdiary

薬剤師によるブログ。在宅医療メインで薬剤師してます。いろいろなことに興味があり、特にビジネスの側面からのお話が多いかも?

今話題の上野竜太郎。ニートで市議会議員へ出馬。

この度、ひそかに注目を浴びた市議会議員への立候補者がおりました。

名前は上野竜太郎です。

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1399票を集めることができましたが、落選してしまいました。

そんな、上野氏がなぜ注目しているのか。ニートであることだけが注目を浴びた理由ではありません。上野氏の興味深い主張とその行動に秘密がありました。

 

▼上野氏の主張と行動とは??

上野氏は次のような主張を行いました。

上野竜太郎です。

政策について書きます。

 

・議員の期末手当という名のボーナス300万円の削減

 千葉市の財政状態は、政令指定都市の中ではもっとも悪い状態となっています。ボーナスを削っても920万も残ります。(今は年収1200万)

政務調査費のインターネット公開

 公開して困る市民がいるでしょうか?

・貧困世帯の子供の学習支援

・介護職員の劣悪な労働環境の改善

・介護職員の労働力不足に対応

 これは労働環境を改善すれば自然と増えてくると思います。

ニートの社会復帰支援

 私以外の誰にこれが出来るでしょう。

・ひとり親世帯の支援

 シングルマザー世帯の子供の6人に1人が貧困状態にあります。この問題を解決せずして「女性の輝ける社会」の実現はありえません。

・子育てのしやすい環境を整備

 千葉市花見川区では、今後25年間で20~39歳の女性の数が54%も減少してしまいます。花見川区は「消滅可能性自治体」なのです。

生活保護者の社会復帰の促進

 「働く」か「生活保護」かの二択ではなく、ある程度の保護を受けながら短時間労働を出来るようにする「中間的労働」の制度を実現させましょう。

・空き家の再利用、再活用

 千葉市内の家の10軒に1軒が空き家となっています。空き家には、「景観」「防犯」など様々な点で問題がありますが、これを積極的に再利用し千葉市のコミュニティ活性化に利用しましょう。

上野氏は立候補の理由として、引きこもりであったが故に日本で起きているおかしなことに気が付き、日本がとんでもないことになっているのではないかと感じたようです。また、そんな日本を祖国として愛するが故に行動を起こしたという顛末だそうです。

その結果、上野氏はニートでもできる選挙の戦い方を行います。決して当選はしませんでしたが、彼の頭の柔らかさと行動力はとても注目すべき点がありました。

 

▼SNSを使った活動とそこに秘められた広報能力と経済性

 

今回の上野氏の活動で特に驚いたのが、コスパの良さ。

そして、それはいかに今の選挙に無駄にお金が使われているかということです。

上野氏のTwitterを抜粋すると以下の実情があるようです。

この国の法律では、立候補するのにまず「供託金」というものが必要になります。
市議会選挙なら30万円
政令指定都市なら50万円
衆議院選挙なら300万円
参議院選挙なら600万円
これだけのお金を用意しなければなりません。そして、得票率が一定数に届かなければこのお金は没収されてしまいます。

 

更に、現在の政治家が行っている「普通の選挙」をしようと思うなら事務所・事務用品・チラシ・葉書・スタッフの人件費・通信費など様々な物にお金をかけなければなりません。普通の人間が用意するにはとても大変な額のお金がかかります。

その結果、普通の人間は立候補を断念し、少し普通ではない人間が我々の代表になるのです。

 

「現在の仕事の問題」に関しては、私にはどうする事も出来ません。
これは会社と社会の問題です。
しかし、「お金の問題」に関して私は、自分の財布も国民の金庫も痛まない選挙を実践出来たと思います。

そして、上野氏はお金のかからない選挙を行いました。

なんと、彼は今回の選挙を8000円で終わらせたのです。

そして、それに比較すると特に際立つのは平均的な立候補者の選挙費用ははるかに高額で、さらに公費を使うことが可能だということです。

上野氏はTwitterでこう述べています。

これは敢えてお伝えするほどの事でもないかも知れませんが、私は今回の選挙では、公費負担を一切していません。普通、選挙ではポスターや選挙カーは税金で提供されます。千葉市花見川区では、ポスター1枚辺り1955円まで、枚数418枚まで税金で作る事が出来ます。

選挙カーを使うなら、運転手代・車代・燃料費も公費負担出来ます。大体、40~50万位になるようです。
私は、当然選挙カーはありませんしポスターは自作です。コンビニのコピーで作りました。ちなみに、袋やテープ、画鋲代込めて1枚辺り18円位です。

上野氏は、これらの通常公費で行う活動の仕方ではなく、SNSとポスターによって1399票も獲得することができたのです。

ちょっと話は変わりますが、前に「家入一真氏」による「インターネッ党」という活動もありました。

新東京計画始動 | インターネッ党

今後、選挙のあり方は大きく変わる可能性があります。そして、そのツールに普段の生活から慣れ扱うことができるのは私たちの20~30代の世代です。そして、この先行きをどうにかしないと私たちが大変になるのは一番よく知っているではないのでしょうか。

世代間割合ではない以上、人数での政治では高齢者の舵切りにどうしても大きく寄与してしまいますが、上野氏はそんな若者に一石を投じました。

現在の法律では立候補可能なのは25歳からです。20代で立候補しようと思うなら、チャンスは25~29までの4年間しかしありません。
確かに短い期間ですが、この4年間の間に我々が持つことの出来る、この「2」という数字には、とても大きな力があります。

「当たって砕けろ」という姿勢が市民の方々に対して誠実かどうかは分かりませんが、20代の人間なら転職・再就職もそれほど難しい事ではないでしょう。
挑戦してみる価値はあると思います。

詳しい活動についてはこちらのまとめで見ることもできます。

本人によるTwitterで活動報告したものを まとめた記事 ↓

togetter.com

 

 今回の立候補について、その活動の実現性の面で当選票を得ることが難しかったのだとは思いますが、選挙の仕方という点では大きな効果があったということは認めざるを得ないのではないかと思います。