お薬漬けのdiary

薬剤師によるブログ。在宅医療メインで薬剤師してます。いろいろなことに興味があり、特にビジネスの側面からのお話が多いかも?

【薬局経営を考える】#後発 医薬品調剤体制 #加算 を狙う

では、後発医薬品体制加算についての考察を記します。

 

まずあなたがあらなければいけないことは、後発品変更が薬局と、患者さんでやることの権限が与えられているか?です。

当たり前ではあるんですが、

ドクターの後発品変更への理解がない場合には進まないところです。

 

次に、あなたの薬局は、薬品の払い出しについて履歴をタイムリーに、確認することができるでしょうか?
厳密いえば、処方での薬品出庫履歴がわからなければ後発医薬品のパーセントは出ません。

現在はそれが可能なソフトやPC環境を揃えている薬局が多いとは思いますのでそれほど取り正すことではないでしょうが、念のため。

 

▼加算は単純な粗利。では、薬価差は??

さてみなさん、粗利という概念はご存知だとは思うのですが、ちょいとおさらいから。これがよく理解できていると、がぜん意欲が出ます。
 
経営を考える上で大事な考え方の一つで、
粗利とは売り上げの中の、原価を差し引いた部分の利益です。

例えば,八百屋が人参を80円で仕入れて、100円で売れば、20円の粗利ということになります。

そう考えた場合、後発品調剤体制加算の粗利はいくらでしょう??

 

実は、

算定のすべてが粗利になります。

 

なかには算定のためにはいろいろな労力がかかった、費用がかかったという方がいるかもしれません。
しかし、粗利はあくまで総売上から原価を引いたもの。労力やそれにかかる費用は関係ありません。

ということで、加算は薬局側は丸々粗利になる"美味しい収益"となります。

今のところ、単純に考えれば薬局のメリットのみです。

が、ここではこのまま後発品を算定しつづけた場合についてもう少し話をして見ましょう。

加算の粗利の考え方は前述の通りですが、
薬価差の粗利について考えていくことも必要です。

仮に、薬価差における粗利が10%だとすると、
後発品は先発品に比べれば価格は安くなりますので (ごく一部除く) 粗利は後発品が増えるほど減っていきます。

先発品1000円・後発品500円の時、
それぞれの粗利は、先発品100円・後発品50円であり
結果50円のマイナスとなるわけです。
こんなかんじ。

ですので、患者さんの負担も軽くなっていきますね。(薬局は利益が縮小)
そうすると、加算と薬価差の両方について粗利を考えた場合に相反する状況ができてしまいます。少々複雑になってきましたので、まとめてみましょう。

▼患者さんにも薬局にもメリットになる程度を探る。

さてさて、
単純に後発医薬品の割合を増やしていくだけでは、
患者さんにも薬局にもいいことなのか、損をしてしまうことなのか、分からなくなってしまいました。
なので、両方の要素を踏まえたイメージグラフを見ながら考えていきましょう。(※現在は55%、65%の2段階になっております)
後発医薬品体制加算が算定された時に粗利が増えますが基本的には右肩下がりです。
このとき先発品から後発品へ変更するときの単価の大きさでグラフ勾配が変わります。

上図では、後発品変更による粗利の低下を、
そのつど加算を取ることでフォローしている印象ですね。
なので、補助線上で交わる交点では同じ粗利でかつ後発品の割合が異なる状況ということになります。


すなわち、後発品をどんどん増やしていった場合に、薬局の儲けは同じところが何回か出てきます。前述の通り、勾配は変更する先発品の薬価に影響を受けるので、この状況を作るためには、薬価があまりにも高いものではうまくいきません。

結論。患者さんも薬局も得をする状況は作れる。
では、
今までのことを踏まえ考えをまとめてみましょう。

①後発品を増やしていくことについて
<患者>
・費用が安くなるってゆく(粗利が同じでも、原価が下がっているので費用は下がる)
・疑義紹介での時間ロス軽減
・在庫不足による調剤機会喪失リスク軽減

<薬局>
・仕入れ値が下がる(黒字倒産のリスク下がる)
・疑義紹介の軽減(後発品変更時の特典)
・在庫コントロールが簡易化(同成分で複数の銘柄をおかなくて済む)

ざっとこんなもん。

②後発品を増やす一方、粗利を確保できるポイントが数回訪れる

③粗利と後発品割合のグラフ勾配は、変更する先発品と変更後の後発品との薬価差から生まれる。


①~③の考えより、
同様のグラフを作成することでグラフ勾配をコントロールし上手に後発品の割合を増やしていくことが可能になります。

前述ではありますが、後発医薬品への変更は経営の観点から見てもメリットがあります。ただ闇雲に変更していくのではなく理論だって変更をしていきたいものです。


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